「ピルの副作用が気になる」
「ピルの副作用が出やすい人はどんな人?」
など、ピルの副作用が心配な方も多いのではないでしょうか。
ピルを定期的に服用することはメリットが多い一方で、吐き気や太る、血栓症のリスクが起こるケースも考えられます。
今回はピルの副作用をはじめ、吐き気や太る、血栓症の症状が出やすい人などについて解説します。
あわせてピルの副作用が出やすい人や予防法なども紹介するため、心配な方は参考にしてみて下さい。
ピルへの正しい知識を深めながらライフサイクルにうまくとり入れ、身体の悩みをスッキリ解消しましょう♪
「ピル」とは?主な種類・特徴について
ピルの副作用やリスクを知る前に、まずピルの特徴について見ていきましょう。
ピルの種類や見込まれる効果など、これから服用する上で知っておきたいことをまとめました。
そもそも「ピル」とは?
「ピル」とは、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2つが主成分となった経口避妊薬です。
避妊目的としてだけではなく、ピルには生理の症状改善・ニキビ予防などさまざまな効果が期待できるでしょう。
ピルは女性ホルモンの配合量によって4種類に分かれます。
ピル処方には医師の診察が必要となっているため、自分が使用したい目的に合わせて最適なピルを処方してもらえるでしょう。
ちなみにピルは日本ではあまり認知されていませんが、諸外国ではかなり普及している薬だと言えます。
例えばフランスでは、女性の約33%がピルを内服しているという調査結果があります。
ピルにはメリットが多くありますが、日本では副作用の方が話題となりやすいのも事実。
徐々に普及しているとはいえ、日本でピルがメジャーになるにはまだまだ時間がかかるのかも知れませんね。
ピルに期待できる効果とは?
避妊目的だけと思われがちなピルですが、実は他にもたくさんのメリットがあります。
ピルを服用することで期待できる主な効果を見ていきましょう。
ピルの効果
期待できる効果 | 理由 |
---|---|
避妊効果 | 99.7%の避妊効果が期待できる1日1錠、決まった時間に服用する必要がある。 |
PMS(月経前症候群)の改善 | 生理前のイライラ・落ち込みなどを緩和するPMSによる精神的な不調を軽くする |
生理痛の緩和 | ピル服用によって生理痛が緩和される子宮内膜が増殖するのを抑える |
月経周期を安定させる | 月経周期をコントロールできる不規則な生理周期を整える |
生理日の移動 | 生理日を移動させる中用量ピル・低用量ピルのどちらかを服用する |
肌荒れの改善 | ニキビなどの肌荒れを改善生理前や生理中のホルモンバランスを整える |
子宮内膜症の改善・予防 | 内膜症の改善・予防ができる子宮内膜の増殖を抑える |
がん発生リスクの軽減 | 卵巣がん、子宮体がん、大腸がんなどのリスクが軽減される100%発症を防ぐわけではない |
ピルの服用によって「避妊効果」だけではなく、PMS(月経前症候群)や生理痛の緩和、月経周期の安定などの効果が見込めます。
これはピルが子宮内膜の増殖を抑えることによって、ホルモンバランスを一定に保つことができるためです。
特にPMSで悩んでいる女性は多く、「イライラ」「落ち込み」「倦怠感」「眠気」などの症状を、ピルによって軽減できるでしょう。
生理周期を整える・肌荒れ防止などにも効果が期待できるため、生理によるストレスを感じている方におすすめです。
またピルによって生理をコントロールすることも可能です。
旅行や大事な予定と生理が被りそうな時に周期を移動させられるのは、ピルの大きなメリットでしょう。
他にも子宮内膜の増殖を抑えることで子宮内膜症の改善や予防、卵巣がんや子宮体がんのリスクを軽減する効果も望めます。
ピルはいっけん副作用ばかり取り上げられがちですが、正しい使い方をすればメリットが多いということも知っておきましょう。
ピルは大きく分けて4種類
一概に「ピル」と言っても、実は4種類に分かれています。
ホルモンの配合量や期待できる効果が異なるため、4つのピルについて詳しく見ていきましょう。
ピルの種類 | 女性ホルモンの配合量 | 特徴 | 主なピル一覧 |
---|---|---|---|
超低用量ピル | 0.03mg以下 | 月経困難症など治療目的で使用されることが多い | ルナベルULD フリウェルULD ヤーズフレックス |
低用量ピル | 0.05mg以下 | 経口避妊薬や生理トラブルの改善が見込まれる | トリキュラー マーベロン アンジュ シンフェーズ ラベルフィーユ ファボワール オーソM(中止) |
中用量ピル | 0.05mg以上 | 月経困難症や生理日移動の目的で使用される | プラバノール |
アフターピル | 種類によって異なる | 緊急避妊薬性交渉後に使用する | ノルレボ レボノルゲストレル エラワン |
ピルは大きく4種類ありますが、生理トラブルの改善でよく利用されるのが「低用量ピル」です。
低用量ピルは女性ホルモンの配合量が少なく、副作用のリスクが少ないことがメリット。
とはいってもピル服用による副作用は人によって出やすい人とそうでない人がいるため、一概には言えません。
現在日本で認可されている低用量ピルにはいくつか種類があるため、自分に合ったものを選択するのがおすすめです。
もし低用量ピルで副作用が出やすい人には、超低用量ピルがおすすめです。
しかし料金が高いため、継続的に使用するのは難しいかも知れません。
「中用量ピル」は、生理日の移動に高い効果が期待できます。
ただしホルモン量が多いため副作用が出やすく、吐き気止めなどと併用するのがおすすめです。
「アフターピル」は、性交渉後の緊急避妊薬として使われます。
何らかの理由で避妊が必要となった場合、アフターピルを服用することで高い避妊率を望めるでしょう。
4種類のピルにはそれぞれ適した役割があるため、自分の目的に合ったピルを選ぶようにしましょう。
日本のピル内服率は世界最下位クラス!?
避妊をはじめPMSや生理改善などに効果が期待できる低用量ピルですが、実は日本の服用率は低いことが判明しました。
国連が発表した「避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)」によると、日本人のピル服用率は「2.90%」という結果に!
フランスやカナダ、イギリスなどと比較すると、ピル内服率はかなり後進国であるという結果になりました。
ちなみにピルの内服率が最も高いフランスでは33.1%となっており、日本の10倍以上の内服率ということになります。
日本では生理痛やPMSに苦しんでいる女性が数多くいるにもかかわらず、低用量ピルの服用率がここまで低いのはなぜでしょうか。
その大きな理由として、ピルはメリットよりも副作用が取り上げられやすいことが考えられます。
もちろんピルには副作用やリスクが起こるケースもありますが、それ以上にメリットが多いのも確かでしょう。
先に紹介したピルのメリットを踏まえながら、副作用についても理解することが大事です。
では次章からピルの副作用について見ていきましょう。
ピルで起こりやすい副作用と確率
ピルは他の薬と同じように、服用によって副作用が出る可能性があります。
ピルのよく起こりやすい副作用と確率を見ていきましょう。
起こりやすい副作用 | 発生頻度 |
---|---|
不正出血 | 20% |
吐き気・嘔吐 | 1.2~29.2% |
頭痛・偏頭痛 | 3.4~15.7% |
乳房の張り | 0.1~20% |
下腹部痛 | 0.1~6.9% |
体重増加 | 0.8~2.2% |
けん怠感 | 0.7~1.7% |
眠気 | 0.3~1.2% |
イライラ感 | 0.2~1.8% |
血栓症 | 0.03~0.09% |
特に起こりやすいのが、「不正出血」「吐き気・嘔吐」「頭痛・偏頭痛」「乳房の張り」の4項目です。
しかしほとんどの症状が、ピル服用から2〜3ヶ月で軽減すると言われています。
ではピルを服用するにあたって、特に起こりやすい副作用について詳しく見ていきましょう。
不正出血(20%)
ピルの副作用で最も多く起こりやすいのが、不正出血です。
約20%の利用者に症状が出やすいと言われているため、これからピルの服用を考えている方は不安感が強いかも知れません。
しかし不正出血の有無や出血量には個人差があるため、一概には言えません。
ピルを2〜3ヶ月服用することで改善することが多いため、症状が出やすい人は様子を見ることが大事です。
しかし出血量が多い、腹痛が伴うという場合は、早めに医師に相談して下さい。
吐き気(1.2~29.2%)・乳房の張り(0.1~20%)
ピルの服用によってホルモンバランスが変わってくるため、吐き気や乳房の張りが見られることもあります。
しかし1〜2週間くらいで改善することが多く、徐々に軽減してくるでしょう。
もし吐き気が出やすい人は、吐き気止めの服用がおすすめです。
特に中用量ピルは副作用が出やすいので、一緒に吐き気止めを処方してもらうとよいでしょう。
太る(体重増加)(0.8~2.2%)
ピルの服用によって体重が増加するというケースもあります。
これはむくみによって起こるものが多く、マッサージやストレッチで改善することも多いでしょう。
ちなみに太る症状が出やすい人は、普段からむくみやすいタイプなのかも知れません。
しかし太る・むくむ症状はほとんどの場合、3ヶ月程度で解消するでしょう。
万が一急なむくみやしびれが起こる場合は、早めに医師に相談しましょう。
血栓症(0.03%~0.09%)
ピルの服用によって起こる副作用の1つとして、「血栓症」があげられます。
1万人中3〜9人と割合的には多くありませんが、発症すると重篤な症状が出るためリスクが高いでしょう。
血栓症が起こるとどういう以下のような症状が出ます。
- 手足のしびれ・麻痺
- むくみや痛み
- 息切れや胸痛
- 頭痛やめまい
- 舌のもつれ
- 目のかすみ
しかしピルを服用しない場合でも、少なからず血栓症のリスクはあります。
もし上のような症状が出た場合は、早急にクリニックを受診して下さい。
頭痛・偏頭痛(3.4~15.7%)
ピルの服用によって頭痛・偏頭痛を引き起こすこともあります。
症状は1〜3ヶ月ほどで症状が落ち着くことが多いため、自然に治まることがほとんどでしょう。
しかし3ヶ月以上続いたり痛みが激しい場合は、ピルの服用をやめて医師に相談するようにしましょう。
ピルの副作用は全ての人に起こる訳ではなく、症状も出やすい人・そうでない人さまざまです。
次章では起こりやすい副作用について、その理由や予防法を解説します。
ピルでよく起こりやすい副作用:吐き気
低用量ピルを服用し始めた頃、多くの女性に起こりやすい副作用が「吐き気」です。
この章では吐いてしまった際にどうしたらいいか、吐き気への対策などをお伝えします。
「吐き気」はピルでよく起こりやすい副作用
「吐き気」はピルによるマイナートラブルの中でも、女性が特に懸念するリスクではないでしょうか。
特にピルを服用し始めた頃の数週間に起こりやすく、症状が出やすい人は同時に「めまい」などを引き起こすことも。
実際に筆者も低用量ピル・中用量ピルを愛用していますが、飲み始めはいつもふらふらしていました。
しかし生活に支障が出るほどでもなく、1ヶ月もすれば身体が慣れてくるので何ともなくなります。
吐き気は飲み初めに起こりやすいトラブルとなっており、多くの場合1〜3ヶ月で解消するのでさほど心配ありません。
もし吐き気が強い・長引く場合は、早めに医師に相談して下さい。
もし吐いてしまったらどうする?
吐き気がひどく、もしピル服用後に嘔吐してしまった場合の対処法について見ていきましょう。
ケース | 対処法 |
---|---|
ピル服用後2時間以内に嘔吐した | すぐに再服用する |
24時間以上嘔吐が続く | 服用を中止する |
ピル服用後すぐに嘔吐した場合は、再服用することで対処できます。
しかし24時間以上吐き気が続くなどの場合は、ピルの効果が得られない可能性があるためいったん中止しましょう。
中止した後は最初のサイクルから飲みなおす必要があるため、受診した医師に相談するのがおすすめです。
「吐き気」への対策
吐き気は出やすい人とそうでない人がいるため、必ず起こる症状ではありません。
しかし一度吐き気が起こると、日常生活に支障を与えてしまうほどつらいことも。
そこで吐き気が起こった場合、どう対処したらいいかをお伝えします。
数々のピルを服用してきた筆者が実際に試したおすすめの方法ばかりなので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ピルは寝る前に服用する
吐き気が出やすい人に最もおすすめなのが、「寝る前に服用すること」です。
たとえピルを服用した後に吐き気を感じたとしても、寝ていればそれに気付くことはまずありません。
寝ている間に気持ち悪い時間が過ぎていくため、吐き気を感じないまま済むことがほとんどでしょう。
特に服用し始めは吐き気の症状が出やすいため、ぜひ寝る前に服用してみて下さい。
楽な服装で過ごす
吐き気を感じる時は、楽ちんな服装が一番です。
ゆったり過ごせるスウェットやトレーナーなど、リラックスできる恰好がよいでしょう。
特にお腹周りを締め付けないような、ウェストがゆったりしている服装がおすすめです。
下着による締め付けで吐き気をもよおすこともあるため、症状が出やすい人は圧迫感のないインナーを身に付けましょう。
また自宅にいる際は、楽な姿勢を取ることも大事。
クッションによりかかる、横になるなど自分が楽に過ごせる体勢で過ごした方が、つらい吐き気が軽減しやすくなるでしょう。
吐き気止めを飲む
吐き気の症状が出やすい人は、吐き気止めを併用して飲むことが可能です。
もし急に吐き気が襲ってきた場合は市販の吐き気止めを購入することもできますが、必ずしもピルと併用できるとは限りません。
吐き気が心配な場合は、市販薬ではなく医師に吐き気止めを処方してもらうようにしましょう。
もしも吐き気がおさまらない時はどうする?
上のような方法を試しても吐き気が治まらないという場合、服用しているピルが身体に合っていないのかも知れません。
市販の風邪薬にも多くの種類があるように、ピルにも多くの種類があります。
ピルとの相性がよくない場合はどんな対策を取っても意味がないので、根本的にピルの種類を見直す必要があります。
実際に筆者の場合、副作用が強いと言われる中用量ピルでは何も起こらず、低用量ピルで吐き気を感じました。
ピルは配合されている「プロゲステロン」の種類によって副作用が出やすい人もいるので、こればかりは誰にも分かりません。
もし吐き気や副作用の症状が長引く場合は、医師に相談するようにしましょう。
特に低用量ピルは種類が多いので、症状が出やすい人は自分に合ったピルを見つけるのがおすすめです。
ピルでよく聞く副作用:太る
「ピルを飲むと太る」という噂を聞いたことがありませんか。
この章では、ピルの服用と「太る(肥満)」の関係について解説します。
果たして「ピル=太る」というのは、本当なのでしょうか。
結論:ピル服用で「太る」のは嘘
結果から申し上げると、「ピルを飲むと太る」というのは事実ではありません。
多くの研究結果から、「ピルを服用することによる体重増加への因果関係はない」ということが分かっています。
つまり「ピル=太る」という方程式は成り立ちません。
ピルの副作用の発生頻度を見る限りでも0.8%〜2.2%となっているため、ほとんどの方に体重増加は見られないことになります。
肥満はピル服用による直接の副作用ではないにせよ、なぜ体重が増えたという噂が流れているのでしょうか。
ピルと肥満の因果関係について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ピルを服用すると「太る」のはなぜ?
ピルを服用すると太ると言われている理由は、次の2つが考えられます。
むくみによる水太り
ピルに含まれている「黄体ホルモン」には、子宮内膜を厚くするという働きがあります。
黄体ホルモンは水分や栄養分を取り込む性質があるため、むくみやすくなることが考えられます。
したがって、身体が「むくむ=太る」というように見えてしまうことが原因。
しかし飲み続けていくうちに体内のホルモンバランスが整っていくので、元に戻る可能性が高いでしょう。
特に低用量ピルはホルモン量が少ないため、症状が出やすい人も徐々に落ち着くのでさほど心配ありません。
体調改善による食欲増進
ピルは生理痛の緩和、PMS解消など多くの効果が期待できる薬です。
ピルを服用することで体調がよくなり、今までよりも食欲がアップすることも少なくありません。
ピルの直接の作用ではないにせよ、食欲が増進することで太るケースもあるでしょう。
飲み始めは体調の変化を感じやすいため、特に食欲が増進する傾向にあります。
これからピルの服用を始める方は、太らないように食事量をコントロールする習慣を付けましょう。
「太る」への対策
直接的な原因でないにせよ、ピル服用によって太るのは何とか避けたいですよね。
ピルで症状が出やすい人・どうしても太りたくないという方は、次の対策を試してみましょう。
食べ過ぎに気を付ける
太らないためには、食事量のコントロールが必須。
肥満体型にならないためにも、食べ過ぎには気を付けましょう。
- よく噛んで食べる
- 塩分や糖質の少ないものを選ぶ
- 1回の摂取カロリーを計算する
- 甘いものを控える
- アルコールを控える野菜から食べる
食べ過ぎを防止するためには、いくつかの方法があります。
全部を実践すると長続きしないため、太りやすい人はできそうな項目からトライしてみて下さい。
多くの太りやすい人はオーバーカロリーになりがちなため、太らないためにはカロリー計算がおすすめです。
とはいっても必要な栄養素を適度に摂取する分には太らないので、バランスの整った食生活を心掛けるとよいでしょう。
むくみを防ぐ
ピル服用によってむくみやすくなることも、太る原因の1つです。
むくみを防止するには、以下のような方法がおすすめです。
- 適度に運動する
- 塩分やアルコールを控える
- 身体をあたためる
- カリウムを摂取する
- 着圧ストッキングを履く
太る症状が出やすい人は、塩分を控えながらカリウムを積極的に摂取するのがポイントです。
カリウムを含む食品の例をあげると、「大豆」「バナナ」「ひじき」「さつまいも」「切り干し大根」などです。
むくみ防止のためには、適度に運動することも大事です。
運動は肥満防止にはもちろんのこと、血行をよくするためにもおすすめ。
血行をよくする・身体をあたためることはむくみ防止へとつながるため、できれば毎日の運動を心掛けましょう。
他にもアルコールを控える、着圧ストッキングを履くなど、できるところからむくみ対策を始めてみて下さい。
他のピルに変える
ピルは副作用が出やすい人もいますが、種類によっては改善することも少なくありません。
現在の日本ではさまざまなピルが売られているため、もし太る症状が出やすい人は他のピルを検討するのもよいでしょう。
その場合はまず、処方したクリニックに相談してみるのがおすすめです。
ピルが引き起こす重篤な副作用:血栓症
「血栓症」は誰にでも発症する疾患であり、ピルが引き起こす最大のリスクとも言われています。
- 血栓症とは、血液の一部が固まって血栓となる病気のこと
- 血栓ができると血管が詰まるため、さまざまな症状を引き起こす
- 最悪のケースだと、重篤な病気につながることもある
血栓症は、さまざまな症状を引き起こす怖い病気の1つです。
ピルの服用によって血栓症のリスクがどれくらい上がるのか、起こらないための予防策などを見ていきましょう。
ピルの服用で「血栓症」のリスクが3〜5倍に!?
ピル最大のリスクとも言われる「血栓症」が起こる確率 はどれくらいでしょうか。
属性 | 発症者数(1万人あたり) |
---|---|
ピル非服用の女性 | 1~5人 |
ピル服用ありの女性 | 3~9人 |
妊婦 | 5~20人 |
分娩後12週までの女性 | 4~65人 |
ピルを服用していない女性の場合、1万人あたり1〜5人が血栓症になるリスクを持っています。
しかしピルを服用することによって、3〜9人に倍増するという結果に!
ピル服用者は非服用者と比較すると、3〜5倍の血栓症発症リスクを持っていることになります。
ちなみに血栓症の発症リスクは服用後4ヶ月以内で起こるケースが多く、中止すると非服用者と同じ確率に戻るとされています。
「血栓症」はピルが引き起こす重篤な副作用
発症者数が少ないとはいえ、血栓症はピルが引き起こす重篤な副作用であることには変わりありません。
ピルの服用以外では、長時間同じ姿勢を取ること(エコノミー症候群)でも血栓症が起こりやすくなります。
身体を長時間動かさないでいると、血管周囲の筋力が低下し静脈の流れが悪くなります。
そうすると血液が貯留しやすくなり、むくみが出たり血栓ができやすくなることも。
この血栓ができた状態を、「静脈血栓寒栓症(肺血栓寒栓症)」と言います。
分かりやすくいうと、血管に血の塊ができて詰まってしまう病気です。
必要な臓器に血液が届かないことによって、身体の機能が低下してさまざまな症状を引き起こすでしょう。
「血栓症」が起こるとどうなるの?
血液供給が滞ることによって引き起こす「血栓症」ですが、どういった症状が出るのでしょうか。
具体的には次のような初期症状が見られます。
- 激しい腹痛
- 激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み
- 激しい頭痛やめまい
- 見えにくい、視野が狭い
- 舌のもつれ
- 失神、けいれん、意識障害
- ふくらはぎの痛み・むくみ・にぎると痛い・赤くなる
- 手足の脱力・まひ
血栓が足にできた場合は足の痛み、胸や肺、血管にできた場合は腹痛・胸痛・頭痛の症状が出ます。
症状が悪化すると、下記のような症状を引き起こし最悪の場合、死に至るケースもあります。
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 脳梗塞
- 腸壊死
- 呼吸困難
とはいっても血栓症を初期に発見できれば、治療や自然治癒で完治することも少なくありません。
もし血栓症の症状が現れた場合はピルを中止して、すぐにクリニックを受診して下さい。
「血栓症」にならないための予防策
ピルによる血栓症のリスクはそこまで高くないものの、予防するに越したことはありません。
血栓症のリスクを下げるための、予防策をいくつか紹介します。
血栓症を予防する方法
予防法 | 内容 |
---|---|
運動する | 1日30分以上の運動が望ましい ストレッチやマッサージなども可 |
肥満にならない | 食事量に気を付ける BMI25未満を目指す |
タバコをやめる | 血栓症以外にもさまざまな病気の原因となる ピル服用中の喫煙はNG |
水分をとる | こまめに水分補給する 寝起きや就寝前、入浴前後は多めにとる |
大豆・発酵製品をとる | イソフラボンには血栓症予防の効果が望める 大豆製品は週に5日以上とる |
着圧ストッキングを履く | 血流がよくなる 自分に合った圧迫度を選ぶ |
血栓症を予防するためにも、上のような予防策を実践してみて下さい。
ピル服用の有無にかかわらず、血栓症予防のためにも普段からできることを続けるようにしましょう。
ピルの副作用で症状が出やすい人の特徴
ピルには吐き気や太る、血栓症などのリスクがありますが、できれば副作用を起こしたくありませんよね。
ではピルの副作用が出やすい人にはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
- 40歳以上の人
- 肥満の人(BMI30以上)
- タバコを吸う人
- 高血圧の人
- 脂質代謝異常の人
- 心疾患がある人
- 生活習慣病の人
- 乳がんや子宮体がんを発症したことがある人
- 偏頭痛のある人
- 家族で血栓症にかかったことがある人
- 肝障害にある人
他にも腎疾患や炎症性腸疾患などのある方は、血栓症のリスクが高いとされています。
これらの症状どれかに当てはまる方は症状が出やすい人なので、低用量ピルを処方してもらえない可能性もあります。
血栓症などの発症リスクを高めないためにも、心配な方はまず医療機関で相談してみて下さい。
ピルを服用できない人
ピルによって副作用が出やすい人の特徴をお伝えしました。
続いて、ピルの服用ができない人を見ていきましょう。
次に当てはまる方は、ピルを服用すること自体ができません。
- 50歳以上の人
- 閉経している人
- 初経が来ていない人
- 35歳以上でタバコを1日に15本以上吸っている人
- 糖尿病患者
- 重度の高血圧症の人
- 妊娠(可能性を含む)している人
- 産後4週以内の人
- 授乳中の人
- 重篤な肝障害がある人
- 安静状態にある人
- 乳がん患者
- 血栓症の既往歴がある人
上の条件に1つでも当てはまる方は、高い確率で副作用が出やすい人になるためピルの服用自体ができません。
他にもさまざまな条件があるため、詳しくはクリニックで確認してみて下さい。
ピルを服用した後に気を付けること
ピルを服用した後は、次の点に注意しましょう。
- 不正出血が起こりやすくなる
- 継続使用する場合は、定期的に血液検査する
- 1年に1回がん検診を受ける
ピル服用後は不正出血が起こりやすくなり、継続することで徐々に解消されるでしょう。
特にピルを服用し始めた頃は、出掛ける際にナプキンやおりものシートを持参するのがおすすめです。
またわずかですが血栓症のリスクが上がるため、定期的に採血することも大事です。
クリニックにもよりますが、だいたい6ヶ月ごとに血液検査を受けるようにしましょう。
オンラインでピル購入している方でも、半年に1回はクリニックを受診するのがおすすめです。
他にも乳がん検診などを受けることが推奨されるため、ピルを処方したクリニックでよく確認してみて下さい。
ピルはオンラインがおすすめ!処方までの4ステップ
ピルの購入には、WEBで診察が受けられるオンラインクリニックがおすすめです。
オンラインピルならいつでも好きな時に診察が受けられ、最短でポストに届けられる点がメリット。
そんなオンラインピルの処方までの流れを見ていきましょう。
診察予約
まずオンラインクリニックで診察予約します。
WEB・アプリ・LINEなどで予約できるところがほとんどで、スマホかPCで簡単に予約できます。
あらかじめ基本情報や問診票を入力することで、スムーズに診察が受けられるでしょう。
オンライン診察
予約した日時にオンライン診察を受けましょう。
診察方法は以下のようなものなどがあり、クリニックによって異なります。
- ビデオ通話
- 電話
- LINE
- チャット
診察方法や医師を選べるクリニックもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
オンライン診察は、対面診察と同じように行われます。
もし不安なことや相談があれば、オンラインであっても遠慮せずに何でも質問しましょう。
決済
医師の診察が終わった後、オンラインで決済します。
決済方法は、以下のようなものなどがあり、クリニックによって異なります。
- クレジットカード
- 後払い
- 代金引換
決済完了後にピルが発送されるクリニックもあるため、すぐにピルが欲しい場合はクレジットカードなどがおすすめです。
ピルのお届け
決済が完了した後に、ピルが発送されます。
クリニックによっては、最短で当日発送されるところもあります。
地域にもよりますが、早ければ翌日に自宅のポストに届くでしょう。
また配送に関しては、「プライバシー配送」してくれるクリニックもあります。
プライバシー配送は郵送物がピルだと分からないように発送されるため、家族などにバレる心配がありません。
ピルの副作用に関するQ&A
ピルの副作用について解説しましたが、まだ疑問があるという方もいるのではないでしょうか。
ピルの副作用に関するよくあるQ&Aを紹介するので、気になるところをチェックしてみて下さい。
ピルの副作用がひどい場合、どうしたらいいですか?
ピルの副作用がひどい場合は、早めに病院を受診して下さい。
副作用の多くは、飲み始めて2〜3ヶ月以内に治まるケースがほとんど。
しかし「副作用が治まらない」「副作用がひどい」という場合は、ピル自体合っていないのかも知れません。
症状が出やすい人は自己判断せずに、専門の医師に相談するようにしましょう。
ピルで将来妊娠できなくなるのは本当ですか?
ピルの影響で妊娠できなくなるということはありません。
ピルによって排卵が抑制されるのは、あくまで服用している期間のみです。
服用をやめれば再び排卵が起こり、妊娠できる状態に戻るので心配ありません。
またピルの影響で卵子や卵巣が変化したり、不妊症になることはありませんので安心して下さい。
胃が弱いのですが、ピル服用しても大丈夫ですか?
胃が弱い方の場合、吐き気や嘔吐などの副作用が起こりやすいかも知れません。
特に服用1〜2ヶ月はマイナートラブルが起こりやすく、その後徐々に軽減するでしょう。
もし副作用が出やすい人や心配な方は、症状を緩和する漢方などを併せて処方してもらうのがおすすめです。
嘔吐が止まらない場合、ピルを続けても問題ありませんか?
もし嘔吐が24時間以上続く場合は、ピルの服用をいったん中止して下さい。
嘔吐が長引く場合、ピルを追加で服用しても思うような効果を得られないかも知れません。
症状が回復したらピルを再開する場合もありますが、自己判断は禁物です。
すぐに服用を中止して、必ず医師に相談するようにしましょう。
ピル服用中で出血が続いています。どうしたらいいですか?
不正出血が続くようでしたら、早めに医師に相談して下さい。
ピル開始後から不正出血が起こる方もいますが、ほとんどが少量で1〜2ヶ月もすれば治まるでしょう。
しかし出血量が多かったり腹痛を伴うなど異常出血が疑われる場合は、早めに医師の指示を仰ぐようにしましょう。
ピルを服用できない年齢はありますか?
ピルは、生理が始まってから閉経近くまで服用できます。
具体的には閉経が近づく50歳まで可能ですが、一概には言えません。
40歳以上の服用では血栓症のリスクが上がるため、クリニックによっては慎重に判断されるでしょう。
また未成年が低用量ピルを服用する場合、親権者の同意が必要となるケースも。
年齢制限についてはクリニックによって基準が異なるため、事前に確認してみて下さい。
ピルの服用でがんになるのは本当ですか?
ピルを長期服用することで、乳がんのリスクがわずかに上がると言われています。
しかし日本の研究では乳がんリスクがあがるという結果が出ていないため、一概には言えません。
もしピルを長期的に服用する方は、クリニックなどで定期的に乳がん検診を受けることをおすすめします。
ピルを飲み忘れた場合、どうしたらいいですか?
飲み忘れたピルの錠数によって、対応が異なります。
飲み忘れのケース | 対応 |
---|---|
1錠飲み忘れた場合 | 気付いた時点ですぐに服用する |
2錠忘れた場合 | 気付いた時点で2錠服用する |
3錠以上のみ忘れた場合 | 服用を中止する |
1錠のみの場合はすぐに服用し、その次からは通常サイクルに戻しましょう。
2錠以上の場合はクリニックによって対応が異なるため、まずは受診したクリニックに相談してみて下さい。
ピル副作用のまとめ
今回はピルの副作用についてお伝えしましたが、気になる疑問は解決しましたか?
ピルには吐き気、太る、血栓症などの副作用があることを、服用前に知っておくことが大事です。
しかし日本で認可されている多くのピルは安全性が高く、医師の診察の上で処方されるためさほど心配ありません。
ピルには思った以上にメリットが多く、女性のさまざまな症状へアプローチします。
ちなみに太るなどの副作用は出やすい人とそうでない人がいるため、必ずしも起こるとは限りません。
もしピルの副作用で「気持ち悪い」「ふらふらする」などの症状が出た場合は、様子見で解消することも多々あるでしょう。
しかし副作用が長引く、心配な場合は、早めに医師に相談して下さい。
ピルの副作用とうまく付き合いながら、ご自身にぴったりのピルを見つけて症状改善を目指しましょう♪